水の歳事記 vol.002
夏は来ぬ
梅雨の時期に降る雨は五月雨(さみだれ)と呼ばれています。自然の恵みを一杯受けて日本の風景に一味深みを与えています。
文部省唱歌に5月〜6月の季節を歌った歌があります。
五月雨の そそぐ山田に、
早乙女が もすそぬらして
玉苗ううる 夏は来ぬ
五月(さつき)やみ 蛍とびかい
水鶏(くいな)なき 卯の花咲きて
早苗うえわたす 夏は来ぬ冬の雨
日本はお米がたくさん採れる肥沃な土地に恵まれています。しかし、数千年前の縄文時代の主食は栗が多く食べられていたようです。当時の遺跡の貝塚には海の幸もたくさん食べられていた様子がうかがえます。その後弥生時代には、稲作中心の食料確保が実現していきました。
現在のような土地開発もなく、自然は自然のままにあった環境では治水が大きな課題でした。日本の気候は温帯特有の温暖多湿なので田んぼに主食になる稲を植えて、豊富な水を田んぼに溜めておく治水と食糧確保を実現する良い方法で、わたしたちの環境を守り、なおかつ健康を支えてくれる米食文化の定着にもなっているのです。
グルメ志向の現代にあって健康を守るための粗食の代表である、ご飯、味噌汁、お漬物の取り合わせは、最近のはやりのアルカリ食品であり、豊富な五穀を十分使った取り合わせで日本の伝統食の優れた智恵に満ちています。
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